結論から言えば、アディーレ法律事務所(運営:弁護士法人AdIre法律事務所)の退職代行は、弁護士が直接会社と交渉できる点が最大の強みだ。
料金はライトプラン19,800円(税込)、フルサポートプラン77,000円(税込)の2種類となっている。
「辞めたいのに辞めさせてもらえない」「有給を消化させてもらえない」——そんな悩みを抱える人にとって、退職代行サービスは今や特別なものではなくなった。
なかでもアディーレは、弁護士法人が直接運営する退職代行として知られている。
一般企業の退職代行や労働組合の退職代行とは、対応できる範囲がそもそも違う。
この記事では、アディーレの退職代行サービスの特徴、料金プランの違い、実際の申込みから退職までの流れを、公式サイトの情報をもとに整理して解説していく。
あわせて、2026年に入って明らかになった非弁業者をめぐる摘発事例や、東京商工リサーチの最新調査から見える企業側の受け止め方についても触れていきたい。
アディーレ退職代行とは?弁護士法人が運営する強み
アディーレの退職代行は、弁護士法人AdIre法律事務所(第一東京弁護士会所属、東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60)が自ら運営するサービスだ。
依頼者に代わって弁護士が会社と直接やり取りを行う点が特徴で、全国対応、土日祝日も相談を受け付けている。
一般的な民間の退職代行業者は弁護士資格を持たないため、退職の意思を伝えることまでしかできない。
有給休暇の取得交渉や未払い残業代の請求といった「交渉」を行うと、弁護士法72条が禁じる非弁行為に該当するおそれがあるためだ。
これに対してアディーレでは、弁護士が代理人として退職日の調整や有給消化の交渉、未払い給与の請求までを一括して担うことができる。
これは単なるサービスの差ではなく、法律上できることとできないことの境界線そのものだと筆者は考える。
退職代行を選ぶ際に「誰が対応してくれるか」が結果を大きく左右する理由が、ここにある。
アディーレ退職代行の料金プランはいくら?ライトプランとフルサポートプランを比較
アディーレの退職代行には「ライトプラン」と「フルサポートプラン」の2種類がある(2026年8月時点、公式サイトより)。
- ライトプラン:19,800円(税込)。退職の意思表示のみを弁護士が代行する
- フルサポートプラン:77,000円(税込)。退職の意思表示に加え、有給取得や離職票などの請求交渉、未払い給与・退職金の交渉、会社からの不当な要求への対応までを含む
ライトプランはLINE公式アカウントからの申込みのみを受け付けており、電話やWebフォームからのご相談予約・依頼はできない点に注意したい。
委任関係も「退職通知日」で終了するため、その後に会社とトラブルになった場合の対応は含まれていない。
一方フルサポートプランは、委任関係が「退職日」まで続く。
通知後に会社から不当な要求をされた場合や、有給消化を渋られた場合にも、弁護士が交渉を続けてくれる仕組みだ。
なお、初回の相談はプランに関わらず何度でも無料で、成功報酬や別途の実費も基本的に発生しない(公式サイトより)。
2回目以降の依頼者には5,500円(税込)割引される「リピート割」も用意されているが、これはLINEからの相談予約・依頼申込みが対象で、電話やWebフォーム経由では適用されない。
料金・キャンペーン内容は変更される可能性があるため、依頼前には必ず公式サイトで最新情報を確認してほしい。
アディーレ退職代行にしかできない交渉とは?一般企業・労働組合との違い
アディーレの公式情報によれば、弁護士による退職代行と一般企業・労働組合による退職代行では、対応できる範囲に明確な差がある。
| 項目 | 弁護士(アディーレ) | 一般企業 | 労働組合 |
|---|---|---|---|
| 退職の意思を伝える | ◎ | ◎ | ◎ |
| 有給取得の交渉 | ◎ | × | △ |
| 未払い給与の請求交渉 | ◎ | × | △ |
| 退職金の請求交渉 | ◎ | × | △ |
| 会社からの不当な要求への交渉 | ◎ | × | × |
| 裁判の際の代理人 | ◎ | × | × |
※表の◎×△は断定的な優劣評価ではなく、弁護士法72条(非弁行為の禁止)および労働組合の団体交渉権の範囲をもとにした一般的な整理であり、アディーレ公式サイトの解説に沿ったものだ。
労働組合には団体交渉権があるため一定の交渉は可能とされているが、労働組合をもっぱら退職代行のために結成することの適法性を認めた判例は、現時点では確認されていない。
法的な専門知識に基づく交渉や、裁判での代理人になれるのは弁護士だけだ。
この違いを知らずに費用の安さだけで業者を選ぶと、いざ有給消化や未払い残業代の話になったときに「対応できません」と言われてしまうケースも起こり得る。
退職代行選びでは、料金と同じくらい「何を交渉できるか」を確認する姿勢が欠かせない。

弁護士に依頼する4つのメリットとは?アディーレならではの強み
アディーレが公式サイトで挙げている、弁護士による退職代行の主なメリットは次の4つだ。
1つ目は、非弁行為のリスクなく交渉できること。弁護士であれば、退職日の調整や条件交渉を行っても法律違反にはあたらない。
2つ目は、有給取得の交渉ができること。未消化の有給休暇がある場合、弁護士が法律に基づいて会社側と交渉し、消化したうえでの退職を目指す。
3つ目は、会社から理不尽な要求やトラブルが発生した場合にも、法律に基づいた対応が可能であること。一般企業の退職代行にはこの対応ができない。
4つ目は、未払い残業代の請求も併せて相談できることだ。ただし未払い残業代請求について本格的な回収交渉を進める場合は、別途契約が必要になるケースがあるとされている。
在職中に残業代を請求するのは心理的なハードルが高く、退職後は証拠集めが難しくなりがちだ。
退職のタイミングで残業代請求も同時に相談できるのは、弁護士による退職代行ならではの利点だと言えるだろう。
「退職できなかったら費用は無駄になる」への備え——アディーレの損なし宣言
アディーレは、依頼したにもかかわらず退職できなかった場合、支払った退職代行費用を全額返金する制度を設けている(公式サイトより)。
もっとも、正社員などの「期間の定めのない雇用契約」であれば、民法627条1項により退職の意思表示から一定期間が経過すれば退職の効果が発生する。
そのため、そもそも「退職できない」という事態はほとんど想定されないという。
この保証が主に想定しているのは、契約社員などの「期間の定めのある雇用契約」で、契約期間の途中では一方的に退職できないケースがある点だ。
つまりこの制度は、大多数を占める正社員の利用者にとっては安心材料という位置づけに近い。
実際に返金が発生する場面はかなり限定的だと筆者は見ている。
過度に期待しすぎず、あくまで「万が一のセーフティネット」として理解しておくのが実情に近いだろう。
2026年2月の摘発事件が示す非弁リスク——東京商工リサーチ調査から見える実態
ここで押さえておきたい事実がある。
2026年2月、大手退職代行サービスの代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕されるという出来事が起きた。
非弁行為、つまり弁護士資格を持たない者が報酬を得て法律事務(交渉)を行うことが、単なる建前上の禁止ではなく実際に摘発の対象になり得ることを示す事例だと言える。
東京商工リサーチ(TSR)が2026年3月31日から4月7日にかけて実施した「2026年4月 企業の『退職代行』に関するアンケート調査」(有効回答数6,425社、同年4月に公表)は、この事件の直後に行われた調査という点でも注目に値する。
同調査によると、弁護士や労働組合以外の退職代行業者から連絡があった場合の対応として、「非弁行為が含まれる可能性があるため取り合わない」と答えた企業は30.4%にのぼった。
一方、同調査では別の設問として、実際に退職代行業者から連絡を受けた企業のうち、未払い賃金や残業代請求、退職日の調整といった非弁行為に触れる可能性のある内容を通知された経験がある企業の割合も30.4%だったと報告されている。
対応方針を聞いた設問と、実際に受け取った通知内容を聞いた設問という、まったく別の質問でありながら、偶然にも同じ30.4%という数字が並んだことになる。
この数字は見過ごせない。
非弁業者に依頼した結果、会社側にまともに取り合ってもらえず、退職手続きが宙に浮いてしまうリスクが現実に存在することを示しているからだ。
一方で弁護士による退職代行は、企業側にとっても法的な重みを持つ相手として認識されやすい。
これは費用の高さを正当化する材料というより、「確実に話を進めたいなら誰に頼むかが重要」という基本原則を、2026年2月の摘発事件と合わせて裏付けるデータだと筆者は捉えている。
なお同調査では、求職者の退職代行利用歴が分かった場合に「採用に慎重になる」とした企業が49.3%、「採用しない」とした企業も26.0%にのぼり、「影響しない」は23.7%にとどまった。
退職代行の使い方そのものが、今後のキャリアに無関係とは言い切れない時代に入りつつあることも、あわせて押さえておきたい事実だ。
アディーレ退職代行の相談から退職までの流れ(申込方法別)
アディーレの退職代行は、大きく分けて次のようなステップで進む。
- 電話・LINE・Webフォームから相談予約をする(ライトプランはLINEからの申込みのみ)
- 弁護士による法律相談で状況や要望を伝える
- 契約手続きと費用の振込みを行う
- 弁護士が会社へ退職の意思表示・交渉を行う
- 退職日(ライトプランは退職通知日)を迎え、契約が終了する
相談予約は土日祝日も受け付けており、来所しなくても電話やLINE、Webフォームでのやり取りだけで完結する点も特徴だ。
急いで辞めたい場合は、LINEから直接依頼を申し込む方法もある。
LINE上でいくつかの質問に回答すると、その内容をもとに弁護士が依頼を受けられるかどうかを判断する仕組みになっている。
ただしフルサポートプランを電話やWebフォームで申し込んだ場合は、前述のリピート割の対象外になる点も忘れずに確認しておきたい。
アディーレ視点で見る、他の弁護士系退職代行サービスとの違い
弁護士が運営する退職代行は、アディーレのほかにも存在する。
例えば「弁護士法人みやび」は、有給消化や未払い給与、残業代、退職金の請求交渉、パワハラ慰謝料請求まで対応する弁護士系の退職代行として知られている。
料金体系はプランによって数万円台から幅があり、後払い対応の有無や返金保証の有無などはサービスごとに条件が異なる(各社公式サイトで最新情報を確認したい)。
こうした他社と比べたとき、アディーレの特徴は「19,800円のライトプラン」という、意思表示のみに絞った低価格帯の選択肢を明示的に用意している点にあると筆者は考える。
「とにかく今すぐ穏便に辞めたい」層と、「有給消化や未払い賃金までしっかり交渉してほしい」層を、料金体系そのもので明確に切り分けている設計だ。
先に触れた2026年2月の摘発事件のように、非弁業者との間で有給消化や退職日をめぐる押し問答に発展し、業者側が対応できずに手を引かざるを得なくなるケースは、決して珍しい話ではない。
そうなったときに弁護士へ改めて依頼し直すと、二度手間で費用も時間もかさむ。
最初から交渉の可能性を見越してプランを選べるかどうかは、思っている以上に重要な分岐点になる。
アディーレ退職代行に関する考察・今後の見通し
ここからは筆者自身の見立てを述べたい。
退職代行という市場は、ここ数年で急速に一般化した。
かつては「会社を辞めるのに人を挟むなんて」という空気もあった。
しかしパワハラや長時間労働、退職を認めない企業体質といった問題が可視化されるにつれ、退職代行はむしろ「正当な権利を守るための手段」として受け止められるようになってきている。
そのなかでアディーレのような弁護士事務所運営のサービスが評価される理由は、単に「安心感がある」という抽象的な話ではない。
非弁行為という法律上の制約を正面からクリアしている点にあると筆者は考える。

2026年2月の摘発事件は、この論点を業界全体に突きつけた出来事だったと言える。
東京商工リサーチの調査が示すように、企業側も非弁業者かどうかを見極めるようになってきている。
今後この傾向はさらに強まる可能性がある。
そうなれば、料金の安さだけで選ぶ退職代行サービスは、肝心な場面で機能しないリスクを抱えたままになるだろう。
一方で、フルサポートプラン77,000円という価格は、緊急性が高く「とにかく今すぐ辞めたい」だけの人にとっては割高に感じられるかもしれない。
その意味で、ライトプラン19,800円という選択肢が用意されていることは、利用者の状況に応じた柔軟な選び方を可能にしていると評価できる。
個人的には、有給消化や未払い賃金の可能性が少しでもある人は、多少費用がかかってもフルサポートプランを検討する価値があると考える。
退職の意思を伝えるだけで終わってしまうと、本来受け取れるはずの有給や賃金を取りこぼしてしまう可能性があるからだ。
今後も退職代行市場では、価格競争と同時に「誰が運営しているか」「どこまで交渉できるか」という透明性を求める声が強まっていくと筆者は予想する。
アディーレのように運営元を明示し、プランごとの対応範囲を具体的に公開する姿勢は、利用者にとって判断材料になりやすい。
こうした情報開示の積み重ねが、業界全体の信頼性向上にもつながっていくのではないかというのが、筆者としての率直な所感だ。
よくある質問
Q. アディーレの退職代行サービスの相談は有料ですか?
いいえ。アディーレでは退職代行に関する法律相談は何度でも無料とされている(公式サイトより)。
Q. ライトプランとフルサポートプランの一番の違いは何ですか?
ライトプランは退職の意思表示のみを弁護士が行うのに対し、フルサポートプランは有給取得や未払い給与、退職金などの交渉まで含まれる点が大きく異なる。
Q. 依頼したのに退職できなかった場合はどうなりますか?
「損なし宣言」により、期間の定めのある雇用契約で契約期間満了前に退職できなかった場合には、支払った退職代行費用が全額返金される制度がある(公式サイトより)。
まとめ
アディーレの退職代行サービスは、弁護士法人が直接運営することで、退職の意思表示だけでなく有給取得や未払い給与、退職金の交渉まで対応できる点が最大の特徴だ。
料金はライトプラン19,800円、フルサポートプラン77,000円(いずれも税込)の2種類で、申込み方法や委任期間もプランごとに異なるため、事前の確認が欠かせない。
2026年2月に発覚した非弁業者の摘発事件、そして東京商工リサーチの調査が示すように、非弁業者に対する企業側の目は年々厳しくなっている。
一般企業や労働組合の退職代行では対応できない交渉領域があることを踏まえると、退職後のトラブルを避けたい人にとって、弁護士による退職代行は検討に値する選択肢だと言えるだろう。
なお、料金・プラン内容・キャンペーンなどは変更される可能性があるため、依頼前には必ず公式サイトで最新情報を確認してほしい。
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