夏休みの自由研究、2023年に小学生の間で人気だったテーマは「ものづくり・図画工作」「生物観察」「化学・科学実験」の3つだ。
体験予約サービス・アソビューの調査によると、この3ジャンルは2年連続で学年を問わず上位を独占している。
学研キッズネットやベネッセ教育情報のランキングを突き合わせても、同じ傾向が確認できた。
※本記事で紹介するデータは、いずれも2023年の夏休み時点で実施・公開された調査に基づく。最新の傾向を知りたい方は、各サービスの最新年度版もあわせて確認してほしい。
小学生の自由研究、2023年の人気テーマはどこで分かる?
「うちの子、何をやればいいのか分からない」——毎年夏になると、この悩みを抱える保護者は多い。
そこで役立つのが、実際にたくさんの家庭が選んでいる「人気テーマランキング」だ。
今回は、教育系メディア・学研キッズネットが公開した2023年の「読まれた自由研究記事」ランキング、体験予約サービス・アソビューが2023年6月から7月にかけて実施したアンケート調査、そしてベネッセ教育情報が公開している学年別の人気テーマを横断的に見て、小学生の自由研究の「今」を整理した。
結論から言えば、低学年は短時間で結果が出る実験・工作、中高学年は観察・調べ学習・科学実験に人気が集まっている。
アソビューの2023年アンケートで1位になったテーマは「ものづくり・図画工作」
体験予約サイトを運営するアソビューは、小学生とその保護者の会員4,268人を対象に、2023年6月29日から7月3日にかけてインターネット調査を実施した。
調査方法はアンケート形式で、自由研究のテーマ選びに関する実態を尋ねている。
その結果、自由研究テーマの1位は2年連続で「ものづくり・図画工作」だったと発表されている。
作る内容としてもっとも多かったのは「貯金箱」で、そのほかにはおもちゃやミニチュア作り、家具や小物のDIYに取り組む家庭も多かったという。
2位は「生物観察」、3位は「化学・科学実験」となり、この上位3テーマは前年と同じ順位だった。
生物観察の具体例としては、カブトムシやクワガタなど夏の虫、魚や歯の観察・生態調査、恐竜について調べるといったアイデアが集まっている。
化学・科学実験では、水と氷、電気、色を使った実験が人気だったそうだ。
定番の3テーマが2年続けて同じ顔ぶれというのは、決して偶然ではない。
「短期間で取り組みやすく、結果が目に見えやすい」という自由研究に求められる条件を満たしているからだと考えられる。
学年別ランキング|低学年・中学年・高学年で1位は同じでも中身が違う
同じアソビューの調査では、学年別の傾向も明らかになっている。
低学年から高学年まで、すべての学年で1位は「ものづくり・図画工作」だった。
ただし2位以降は学年によって差があり、低学年・中学年では「生物観察」が2位、高学年では「化学・科学実験」が2位に浮上している。
- 低学年(1〜2年生):短時間で完結する工作・実験が中心
- 中学年(3〜4年生):観察や栽培など、数日〜1週間程度かけて取り組むテーマが増加
- 高学年(5〜6年生):比較・考察を伴う研究や、プログラミングなど抽象的思考が必要なテーマも人気
学年を問わず人気を集めたテーマとしては、「食べ物・料理」「美術・芸術・絵画」「天体観測・宇宙」も挙げられている。
これは筆者の見解だが、学年が上がるにつれて「作る楽しさ」だけでなく「なぜそうなるのかを考える楽しさ」に興味が移っていく、子どもの発達段階がそのまま反映された結果だと言えるだろう。
学研キッズネットで2023年によく読まれた自由研究テーマTOP10
教育情報サイト「学研キッズネット」は、2023年時点でこの1年間によく見られた自由研究記事のランキングTOP10を公開している。
1位は「10円玉のぴかぴか実験」だった。
黒ずんだ10円玉を、しょう油やソース、ケチャップなど身近な調味料で磨いて汚れの落ち具合を比較し、酸化と還元について学ぶという実験だ。
2位は「太陽光でお湯ができる『ペットボトル温水器』をつくろう」で、アクリル絵の具で色をつけたペットボトルを使い、どの色がいちばん水を温めるかを調べる内容。
3位は食用油と廃油処理剤を混ぜてつくる「ぷよぷよキャンドル」、4位は祖父母などに話を聞いて今の暮らしと比べる調べ学習「昔のくらしと今のくらしをくらべてみよう!」だった。

5位は網の目から水がもれない不思議を確かめる「あみ目からもれない水」、6位はペットボトルでつくる「トルネード」で、渦の力を目で確かめられる定番実験だ。
7位はコップの中で地震による液状化を再現する実験、8位は重曹とクエン酸を使って手軽につくれる「炭酸水」で、いずれも家にある材料で完結する手軽さが支持されている。
9位はアイシャドウのパウダーを使って指紋を浮かび上がらせる指紋検出の実験、10位は静電気を目に見える形にする「静電気探知機」で、理科室でしか見られないような現象を自宅で再現できる点が人気の理由と言えそうだ。
このランキングはページビュー(閲覧数)に基づくもので、アンケートによる「やりたいテーマ」調査とは集計方法が異なる点に注意したい。
上位10件のうち実験系テーマが9件を占めており、「短時間・身近な材料・結果がはっきり見える」実験は、検索されやすく読まれやすいテーマであることがうかがえる。
学研キッズネット編集長の「たくやん」氏は、2023年に注目のテーマとして「SDGs」と「宇宙」を挙げている。
宇宙については、JAXAが14年振りに宇宙飛行士選抜試験を実施したことが話題となり、子どもたちの関心が高まっているという。
ベネッセが紹介する学年別おすすめテーマの具体例
ベネッセ教育情報の自由研究特集では、学年ごとにおすすめのテーマ例が紹介されている。
こちらは同社の教育コンテンツ編集チームが、これまでの反響や相談実績をもとに選定したテーマ例だ。
小学1・2年生向けの1位は「割れないシャボン玉を作ろう!」、いろいろな道具を使ってシャボン玉が割れない理由を考える実験だ。
小学3・4年生向けは「色が変わる飲み物でキャンディーを作ろう」で、色が変わるハーブティーを使って2色のキャンディーをつくる。
小学5・6年生向けは「虫メガネでカメラの原理を調べよう」、虫メガネと牛乳パックでカメラボックスをつくり、映像を映す仕組みを学ぶテーマとなっている。
2位には「シュワシュワ炭酸水のおふろにしよう」「葉っぱの光合成が見える実験」「風向計を作ろう!」「10円玉の汚れを落とす実験」といったテーマが並び、3位には「塩の結晶を取り出そう!」「白い花をカラフルに変えよう!」「風力発電装置を作って新エネルギーを学ぼう」「黄身と白身が逆転!?不思議なゆで卵を作ろう」が紹介されている。
こうして見ると、同じ「実験系」でも低学年は感覚的な面白さ重視、高学年になるほど「なぜそうなるのか」を考察させる設計になっているのが分かる。
これは自由研究のテーマ選びにおいて、非常に重要なポイントだと筆者は考える。
自由研究キットを使うという選択肢も広がっている
近年は、材料や説明書がひとつになった「自由研究キット」を活用する家庭も増えている。
比較サービスのマイベストが公開しているランキングによれば、キットは低学年・中学年・高学年でおすすめのタイプが異なる。
- 低学年(1〜2年生):1日ほどで完結する工作・実験系キット(例:組み立て式の工作キット、化学反応で「つかめる水」をつくる実験キットなど)
- 中学年(3〜4年生):10日ほどで完結する観察・栽培系キット(例:アリの巣を立体的に観察できるキット、ブロッコリースプラウトの水耕栽培キットなど)
- 高学年(5〜6年生):比較・考察を伴う研究系や、ロボットをプログラミングで動かすキット(例:二酸化炭素の量を調べるキット、段ボールロボットをプログラミングで動かす「embot」シリーズなど)
このランキングは、マイベスト編集部による商品比較・レビューをもとにまとめられたものだ。
キットを選ぶ際は、道具やマニュアル、記録用シートが充実しているかどうかも確認しておきたいポイントだ。
なお、学校によっては自由研究キットの使用を禁止している場合もあるため、購入前に学校へ確認しておくことをおすすめする。
価格やラインナップは変動するため、購入を検討する際は各キットの公式サイトで最新情報を確認してほしい。
保護者はどこまで手伝う?2023年アンケートで見えた家庭の実態
自由研究というと「子どもが一人でやるもの」というイメージを持つ方もいるかもしれないが、実態は少し違う。
先ほどのアソビューの調査によると、「すべて子ども自身で取り組む」と回答した家庭はわずか11.7%にとどまり、約9割の家庭で大人が何らかの形でサポートしていることが分かっている。
サポートの内容を多い順にまとめると、次のようになる。
| サポート内容 | 割合 |
|---|---|
| テーマや実施方法の相談に乗る | 33.0% |
| 外出の付き添い・材料調達などのサポート | 30.8% |
| テーマ決めから実施まで共に取り組む | 24.5% |
| すべて子ども自身で取り組む | 11.7% |
学年別に見ると、低学年の家庭では「テーマ決めから相談し、実施まで共に取り組む」が33.9%と高く、高学年の家庭では「すべて子ども自身で取り組む」が16.2%とやや高い傾向が見られた。
つまり、子どもの学年が上がるにつれて、少しずつ手が離れていく様子がデータからも読み取れる。

考察|なぜこの3テーマが強いのか
ここからは筆者としての見解を述べたい。
複数の調査結果を横断して見えてきたのは、テーマの「人気」と「検索されやすさ」は必ずしも同じ理由で生まれているわけではない、という点だ。
「ものづくり・図画工作」が選ばれる理由
アソビューのアンケートで1位になった「ものづくり・図画工作」は、家庭で完結しやすく、貯金箱のように形として残る達成感がある。
だからこそ実際に選ばれる件数が多いのだと考えられる。
実験系の記事がよく読まれる理由
一方、学研キッズネットで読まれた記事の上位を実験系テーマが独占していたのは、「10円玉が本当にピカピカになるのか」「本当にトルネードが起きるのか」といった結果への好奇心が、検索や記事閲覧という行動に直結しやすいからではないだろうか。
つまり「実際にやってみたいテーマ」と「検索して調べたくなるテーマ」は少しズレており、これは自由研究に限らず、情報収集全般に見られる興味深い現象だと筆者は感じている。
コロナ禍からの変化という新しい視点
もうひとつ指摘しておきたいのは、アソビューの調査で「工場見学」や「職業体験」、「プログラミング」の大会・体験会参加といった、外出をともなうテーマの順位が前年から大きく上がったという点だ。
アソビュー自身は、この背景に新型コロナウイルスが5類に移行して以降、初めての夏休みだったことがあると分析している。
コロナ禍のピークだった時期は、外出を伴う体験型テーマよりも、自宅で完結する工作・実験系テーマが選ばれやすかったと言われていた。
そう考えると2023年は、自由研究のテーマ選びが「おうち完結型」から「外に出て体験する型」へと揺り戻された、いわば転換点の年だったと筆者は見ている。
社会状況の変化が、子どもたちの自由研究というごく身近な選択にも表れているのは興味深い。
今後は、この延長線上でJAXAの宇宙飛行士選抜試験のような時事的な話題や、SDGsのように社会課題と結びついたテーマが、じわじわと存在感を増していくのではないかと筆者は見ている。
学研キッズネット編集部が2023年に「SDGs」と「宇宙」を推していることも、この流れを裏づけているように思う。
保護者の関わり方について
保護者のサポート実態についても一言添えておきたい。
約9割の家庭が何らかの形で関わっているというデータは、「自由研究は子どもだけの宿題」という思い込みを見直すきっかけになるはずだ。
特に低学年のうちはテーマ決めから一緒に取り組み(33.9%)、学年が上がるにつれて少しずつ手を離していく(高学年の16.2%が「すべて子ども自身」)という段階的な関わり方は、多くの家庭にとって現実的で参考になる指針だと筆者は考える。
長年、教育や子育てにまつわる働き方・家庭のあり方を独自にリサーチしてきた立場から見ても、「最初は伴走し、徐々に本人に委ねていく」という関わり方の設計は、自由研究という一つの宿題にとどまらず、子どもが物事を自分ごととして学んでいくうえで欠かせない視点だと感じている。
まとめ
小学生の自由研究テーマは、2023年のアンケート調査では「ものづくり・図画工作」「生物観察」「化学・科学実験」の3つが学年を問わず上位を占めている。
一方で、読まれている記事という切り口で見ると「10円玉のぴかぴか実験」や「ペットボトル温水器」のような身近な実験系テーマが強い。
学年に応じて、低学年は短時間で結果が見える工作・実験、高学年は考察を伴う研究やプログラミングへと、選ぶべきテーマの方向性は変わっていく。
キットを活用する、保護者が段階的にサポートするなど、家庭の状況に合わせたやり方を選びながら、子ども自身が「やってみたい」と思えるテーマを見つけることが、自由研究を充実させる一番の近道だと言えるだろう。
よくある質問
小学生の自由研究で一番人気のテーマは何ですか?
2023年のアンケート調査では2年連続で「ものづくり・図画工作」が1位となっており、特に貯金箱づくりが人気だった。
低学年と高学年でおすすめのテーマは違いますか?
はい。低学年は1日程度で完結する工作・実験系、高学年は比較・考察を伴う研究系やプログラミング系が向いているとされている。
自由研究は親がどこまで手伝ってよいのでしょうか?
2023年の調査では約9割の家庭が何らかの形でサポートしており、「相談に乗る」程度の関わりが最も多かった。学年が上がるほど子ども自身に任せる家庭が増える傾向にある。
参考
- アソビュー「自由研究に関するアンケート調査(2023年6月29日〜7月3日実施、有効回答4,268人)」
- 学研キッズネット「2023年によく読まれた自由研究記事ランキングTOP10」、編集長・たくやん氏コメント
- ベネッセ教育情報「学年別おすすめ自由研究テーマ」
- マイベスト「自由研究キット比較ランキング」


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