退職代行は大きく分けて「民間企業」「労働組合」「弁護士事務所」の3タイプがあり、料金相場はおよそ1万円〜10万円と運営元によって幅がある。
結論から言えば、安さだけで選ぶと有給交渉ができずに後悔するケースがある。
本記事では会社一覧を種類別に整理しつつ、2026年に報じられた具体的な出来事もあわせて、失敗しない選び方を解説する。
退職代行サービスとは?会社一覧を見る前に知っておきたい基礎知識
退職代行サービスとは、依頼者に代わって「退職の意思」を会社に伝えてくれるサービスのことだ。
労働基準法上、労働者には退職の自由が認められている。
とはいえ「上司が怖い」「引き止められそうで言い出せない」という心理的なハードルは、実際に働いた経験がある人ほどよく分かるはずだ。
そうした事情から、退職代行という業態は短期間で社会に広がった。
依頼者は会社と直接連絡を取ることなく、LINEやメールでのやり取りだけで退職手続きを進められる点が最大の特徴だ。
ただし、退職代行会社と一口に言っても、運営元によってできることには大きな差がある。
ここを理解しないまま会社名やランキングだけで選んでしまうと、「有給の交渉ができなかった」「会社から直接連絡が来た」といったトラブルにつながりかねない。
まずは種類ごとの違いから見ていこう。
退職代行の種類は3つ|運営元で対応範囲がこう変わる
退職代行サービスは、大きく分けて「民間企業」「労働組合」「弁護士事務所」の3タイプに分類される。
結論から言うと、料金の安さと対応できる交渉範囲の広さは、ほぼ反比例の関係にある。
民間企業運営の退職代行
民間企業が運営する退職代行は、退職の意思を会社に伝えることのみが業務範囲になる。
「非弁行為」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
これは、弁護士資格を持たない業者が有給消化や退職日の調整といった「交渉」を行うと、弁護士法第72条という法律に違反するおそれがある、という意味だ。
簡単に言えば「お金をもらって法律の交渉ごとを代行できるのは、原則として弁護士だけ」というルールがあるということだ。
料金は比較的安く、1〜5万円程度が相場とされる。
退職代行EXITは一律15,000円という価格を打ち出しており、業界の中でも特に安い部類に入る(※同社公表値、2026年8月時点)。
労働組合運営の退職代行
労働組合が運営する退職代行は、依頼者が組合員として加入することで、労働組合法上の「団体交渉権」を根拠に会社と交渉できる点が特徴だ。
有給休暇の消化交渉や退職日の調整など、民間業者ではできない範囲まで対応可能になる。
料金相場は2.5〜3万円ほどとされる。
ただし労働組合運営であっても、損害賠償請求の代理や訴訟対応そのものは行えない点には注意が必要だ。
弁護士事務所運営の退職代行
弁護士が運営する退職代行は、法律事務全般を代理人として扱える唯一の形態だ。
有給交渉や退職日調整はもちろん、未払い残業代・退職金の請求、さらに万が一会社から損害賠償を求められた際の訴訟対応まで一貫して依頼できる。
料金相場は5〜10万円程度とやや高めだ。
つまり、料金差は単なる価格競争ではなく「どこまで法律行為を任せられるか」という対応範囲の差そのものだと考えてほしい。

退職代行はどこまでやると違法になる?非弁行為のボーダーライン
退職の意思を伝えるだけなら違法にはならないが、無資格者が交渉や紹介料授受を行うと弁護士法違反に問われうる。
このボーダーラインを理解しておくことが、会社選びで失敗しないための土台になる。
退職代行サービスそのものは違法な業態ではない。
労働者が退職の意思を第三者を介して伝えること自体は自由であり、法律で禁止されているわけではないからだ。
問題になるのは、弁護士資格を持たない業者や労働組合が、有給消化・退職金・未払い残業代といった「交渉」に踏み込んだ場合だ。
これは弁護士法第72条が定める非弁行為に該当するおそれがある。
さらに、無資格の業者が交渉案件を弁護士に斡旋し、その紹介料を受け取る行為も同様に非弁提携として問題視される。
後述するモームリの事案は、まさにこの「紹介料の授受」が刑事事件に発展した具体例だ。
依頼を検討する際は、運営元が民間・労働組合・弁護士のどれに当たるのかを、料金表だけでなく必ず確認しておきたい。
退職代行サービスおすすめ会社一覧|種類別に比較
ここからは、複数の比較サイトで繰り返し取り上げられている退職代行会社を、種類別に一覧で紹介する。
料金や実績はいずれも各社の公表情報にもとづいており、以下で示す実績数値はすべて各社の自己申告値(※自社公表値)である点をあらかじめお断りしておく。
料金やキャンペーン内容は時期によって変動するため、依頼前には必ず公式サイトで最新情報を確認してほしい。
労働組合運営のおすすめ会社
| 会社名 | 料金目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 退職代行OITOMA | 19,800〜24,000円程度 | 追加料金なし、全額返金保証(※自社公表値)、24時間対応 |
| 退職代行ガーディアン | 22,000円〜 | 振込先名義「東京労働経済組合」を公開、365日全国対応 |
| 退職代行SARABA | 一律24,000円 | 相談・電話回数無制限(※自社公表値)、運営元はSARABAユニオン |
| 退職代行ローキ | 19,800円 | 弁護士と労働組合のダブル体制、損害賠償請求にも組合として対応 |
| 男の退職代行 | 18,800円〜 | 男性専門、6万件超の実績(※自社公表値) |
| 退職代行わたしNEXT | 要問合せ | 女性専門、JRAA特級認定を取得とされる |
弁護士事務所運営のおすすめ会社
| 会社名 | 料金目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| フォーゲル綜合法律事務所 | 22,000円〜 | 数千名規模の実績(※自社公表値)、公務員・ナイトワーク対応 |
| 弁護士法人みやび | 27,500〜77,000円 | パワハラ・セクハラ交渉に強い、25,000件以上の実績(※自社公表値) |
| 弁護士法人ガイア総合法律事務所 | 25,300〜77,000円 | 全国対応、損害賠償請求ケースでも退職完了実績(※自社公表値) |
| 弁護士法人川越みずほ法律会計 | 要問合せ | 埼玉拠点で全国対応、有給交渉から訴訟まで網羅 |
民間企業運営のおすすめ会社
| 会社名 | 料金目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 退職代行jobs | 23,000〜27,000円程度 | 労働組合と提携、現金後払い対応、期間無制限アフターサポート(※自社公表値) |
| 退職代行ヤメドキ | 一律24,000円(税込) | 2024年3月〜2026年4月で3,972名対応、退職率100%(※自社公表値) |
| 退職代行EXIT | 15,000円前後 | 業界でも最初期にできたとされる元祖的存在 |
| 退職代行ニコイチ | 要問合せ | 2004年創業、累計対応実績67,041人、退職成功率100%(※自社公表値) |
| 退職代行辞スル | クーポン適用時21,000円 | 最短30分対応、後払い対応 |
これらの会社名・料金・運営元は、各社の公式サイトなどで公表されている情報を整理したものだ。
なお本記事は特定企業からの広告・PR提供を受けたものではなく、公開情報にもとづく独立した比較としてまとめている。
退職代行はなぜ今こんなに使われている?GW中150件の依頼が示すもの
2026年のゴールデンウィーク明けにも、退職代行への依頼が大きく増えたことがテレビ朝日系(ANN)の報道で伝えられている。
同報道(2026年5月上旬放送)によれば、連休の4日間だけで、報道内で取材対象となった1社に約150件の退職代行の依頼が入ったという。
同報道の中で、弁護士法人川越みずほ法律会計の清水隆久代表は、連休明け直前に依頼が集中して増えたことをコメントしている。
連休中に家族や友人と過ごす時間ができることで、「自分の労働環境は当たり前ではなかった」と気づく人が多いというのが、報道内で語られている実態だ。
これは単なる一過性の現象ではなく、退職代行が特別な決断ではなく「連休明けに検討する選択肢の一つ」として、幅広い年代に定着しつつあることを示していると筆者は見ている。
若い世代だけでなく、中堅・ベテラン層の利用も増えているという指摘も複数の情報で共通しており、退職代行はもはやニッチなサービスではなくなっている。
モームリ社長逮捕から見える「非弁行為」のリスクとは?
退職代行の急拡大は、良い面ばかりではない。
各種報道によれば、2026年2月3日、退職代行「モームリ」を運営する株式会社アルバトロスの社長・谷本慎二容疑者(37)と、妻で同社執行役員の志織容疑者(31)が、弁護士法違反(非弁提携)の疑いで警視庁に逮捕された。
報道によれば、同社は弁護士資格がないにもかかわらず、依頼者から受けた残業代請求などの交渉を提携先の弁護士に斡旋し、その紹介料を「労働組合への賛助金」名目などで受け取っていた疑いが持たれている。
起訴内容によると、対象となった依頼者は2023年から2025年にかけて約170人にのぼり、1人あたり16,500円の紹介料が動いていたとされる。
その後の裁判では、2026年5月26日に東京地裁で初公判が開かれ、両被告は起訴内容を認めたと報じられている。
なお本記事執筆時点では、判決期日について確定的な報道は確認できていない。
続報が出た際には、最新の裁判の状況を公式の報道機関の情報で確認してほしい。
前述のとおり「交渉」を担えるのは弁護士か、団体交渉権を持つ労働組合に限られる。
モームリの事案は、「弁護士監修」という言葉の響きと、実際の運営実態にズレがあった場合に何が起きるかを示す、極めて具体的な教訓だと言える。
筆者としては、この一件は退職代行業界全体への警鐘であると同時に、利用者側にも「運営元の実態を確認する」という一手間の重要性を突きつけた出来事だと受け止めている。
なお、本件の被疑者・被告に関する情報は報道各社が伝える内容にもとづくものであり、今後の裁判の進行によって新事実が明らかになる可能性がある点はご留意いただきたい。

退職代行を使うと損害賠償を請求される?大阪地裁の判断
「退職代行を使うと会社から損害賠償を請求される」という不安の声もよく聞かれる。
報道によれば、放課後等デイサービスを運営する会社が、退職代行を利用して退職した元従業員に対し、引き継ぎ義務の不履行を理由に約1,200万円の損害賠償を求めて提訴した事案が存在する。
これは大阪地方裁判所が2025年1月27日に判断を示したと報じられている事件で、会社側は「退職代行を使って突然出勤しなくなったのは、引き継ぎ業務の放棄にあたる」と主張していた。
これに対し裁判所は、退職の意思表示の方法そのものは引き継ぎ義務の履行とは無関係であるとした上で、元従業員が退職の意向を伝えたうえで必要な引き継ぎ業務を行っていたことを認め、引き継ぎ義務違反はなかったと判断したとされる。
つまりこのケースでは、退職代行を利用したこと自体を理由に会社側の請求が認められたわけではない。
とはいえ、この裁判例は「訴訟に発展する可能性そのものがゼロではない」ことも同時に示している。
筆者としては、この判決は利用者にとって心強い材料である一方、引き継ぎを丸投げしてよいという意味では決してないと考える。
可能な範囲で業務の所在や進行中の案件を書面化しておくといった最低限の配慮は、トラブル予防の観点からも有効だと言えるだろう。
退職代行サービスの選び方|会社一覧から自分に合う1社を選ぶポイント
会社一覧を眺めるだけでは、どこに依頼すべきか判断が難しい。
以下の観点で絞り込むのがおすすめだ。
- 交渉の必要性:有給消化や退職日の調整で会社ともめそうなら、労働組合か弁護士運営を選ぶ
- 料金と支払い方法:後払いや全額返金保証の有無は、金銭的な不安を減らす材料になる
- 対応スピード:即日対応・24時間相談可能かどうかは、今すぐ辞めたい人にとって重要な判断軸
- 運営実態の透明性:振込先名義や代表者名などが公開されているかどうかは、信頼性を測る一つの目安になる
これらは事実の比較軸であると同時に、筆者としては特に「交渉の必要性」を最初に自問することを勧めたい。
料金の安さだけで民間業者を選んでしまい、いざ有給消化の交渉が必要になった段階で「対応不可」と言われるケースは、複数の情報で共通して指摘される典型的な失敗パターンだからだ。
そしてモームリの事案が示すように、「弁護士監修」という表記だけで安心せず、運営元が実際にどのタイプに該当するのかを一段階踏み込んで確認する姿勢が、これからはより重要になってくる。
よくある質問
退職代行サービスは違法ではないの?
退職代行サービス自体は違法ではない。
ただし、弁護士資格のない業者が有給消化や退職金などの交渉(法律事務)を自ら行ったり、その交渉を無資格のまま弁護士に斡旋して紹介料を得たりすると、弁護士法第72条が定める非弁行為に該当するおそれがある。
2026年に報じられたモームリの事案は、まさにこの点が問題視されたケースだ。
運営元が民間・労働組合・弁護士のどれに当たるかを、依頼前に確認することが重要になる。
退職代行を使うと会社から直接連絡が来ることはある?
業者側が「本人へ連絡しないでほしい」と伝えても、それ自体に法的な強制力はないとされる。
会社側が本人の真意確認のために直接連絡してくる可能性はゼロではない。
弁護士や労働組合が代理人として介入している場合は、会社側も無視しづらくなる傾向があるとされている。
退職代行の料金相場はどれくらい?
目安として、民間企業は1〜5万円程度、労働組合は2.5〜3万円程度、弁護士事務所は5〜10万円程度とされている。
会社ごとに基本料金に含まれる範囲(有給交渉や書類督促など)が異なるため、追加料金の有無を事前に確認することが欠かせない。
考察|退職代行業界に今起きていること
複数の情報を横断して見ていくと、退職代行業界には共通した構造的な変化が起きていることが分かる。
まず、料金だけを見れば民間企業が最も安く、弁護士事務所が最も高いという序列がはっきりしている。
だが繰り返しになるが、この価格差はそのまま「対応できる範囲の広さ」の差でもある。
筆者としては、この価格差を単なる「コスパの差」として捉えるのは早計だと考えている。
依頼者自身が置かれている状況——引き止めが強いか、未払い残業代があるか、損害賠償を仄めかされていないか——によって、選ぶべきタイプはおのずと決まってくるはずだ。
モームリの逮捕・起訴という一連の出来事は、業界全体が急拡大する中で、非弁行為のグレーゾーンに踏み込む業者が実際に存在し、それが刑事事件にまで発展しうることを具体的に示した点で大きな意味を持つと筆者は考える。
個人的には、今後半年から1年ほどのスパンで、この業界は「価格競争」から「運営実態の透明性競争」へとフェーズが移っていくのではないかと見ている。
振込先名義や代表者名、実績の集計期間まで具体的に公開する会社が増えている流れは、まさにその兆候だろう。
一方で、大阪地裁の判断が示すように、退職代行を利用したこと自体を理由に労働者側の責任が一方的に認められるわけではないという司法判断も出てきている。
これは利用を検討する読者にとって、過度に萎縮する必要はないという安心材料になるはずだ。
依頼者側も、会社名や料金の一覧だけで判断するのではなく、運営元の実態や直近の報道まで踏み込んで確認する視点を持つことが、今後ますます重要になっていくと筆者は考えている。
まとめ
退職代行サービスは、運営元によって「民間企業」「労働組合」「弁護士事務所」の3タイプに分かれ、料金相場は1〜10万円、対応できる交渉範囲も大きく異なる。
2026年には、ゴールデンウィーク中の依頼急増や、モームリ社長らの逮捕・起訴、大阪地裁での損害賠償訴訟の判断など、業界の実態を示す具体的な出来事がいくつも報じられた。
会社一覧を比較する際は、料金の安さだけでなく、自分が有給交渉や未払い給与請求を必要としているかどうか、そして運営元の実態が確認できるかどうかを軸に選ぶことが、後悔しない退職代行選びの近道になる。
最新の料金やキャンペーン内容は変動する可能性があるため、依頼前には必ず各社の公式サイトで最新情報を確認してほしい。


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