結論からお伝えします。アルバイトやパートも退職代行サービスを問題なく利用でき、料金相場は運営元によって1万円台から10万円程度まで幅があります。
「正社員じゃないのに退職代行なんて使っていいのだろうか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
しかし民法や労働基準法の規定を見ても、雇用形態による差はありません。バイトだからといって退職代行を使うことに、何の後ろめたさもいらないのです。
この記事では、アルバイト・パートが退職代行サービスを使う際の料金相場、利用の流れ、そして知っておくべき注意点を整理してお伝えします。
退職代行サービスはアルバイト・パートでも使えるのか?
結論として、雇用形態にかかわらず誰でも利用できます。
退職代行サービスは、正社員・契約社員・アルバイト・パートといった区分に関係なく申し込めるサービスです。
勤務時間の長さや勤続年数、勤務エリアも一切関係ありません。
正社員は期間の定めのない無期雇用が一般的ですが、アルバイトやパートは半年更新・1年更新といった有期雇用が多く見られます。
有期雇用の場合、契約期間の途中での退職は原則として認められていません。
ただし、次のいずれかに該当すれば契約期間中でも退職が可能です。
雇用主と労働者の双方が合意している
雇用期間が1年以上で、すでに1年以上働いている(労働基準法附則137条)
雇用期間が自動更新されたとき(民法629条)
やむを得ない事情があるとき(民法628条)
体調不良や家庭の事情など、やむを得ない理由があれば有期雇用でも中途退職ができるため、多くのアルバイトはこの条件に当てはまり、退職代行を利用できるのが実情です。
なお、正社員のような無期雇用の場合は、民法627条により退職を申し入れてから2週間が経過すれば契約は自動的に終了します。会社側にこれを拒否する権利はありません。
筆者としては、この「雇用形態による差がない」という事実こそ、まず一番に知ってほしいポイントだと考えています。
アルバイトだから遠慮しなければならない、という思い込みが、辞めたくても辞められないという状況を長引かせてしまうケースを、筆者はこれまでの取材・リサーチのなかで何度も目にしてきました。
バイトの退職代行利用は本当に増えているのか?
結論として、断定できる公的な全国統計はまだ存在しませんが、業界側の発信を見る限り若年層・非正規層の利用は広がっている傾向がうかがえます。
退職代行サービスは民間企業が展開しているビジネスであるため、利用者数を国が一元的に集計した公的統計は、現時点では整備されていません。
その前提のうえで、大手退職代行運営各社がSNSや自社サイトで公表している依頼者属性の傾向を見ると、20代の依頼者比率が高く、そのなかにはアルバイト・フリーターからの相談も一定数含まれているとされています(各社公表情報より筆者調べ)。
また、求人・転職メディアが実施したアンケート調査でも、「退職代行を使ったことがある、または使いたいと思ったことがある」と回答する若年層の割合は年々増加傾向にあると報じられることが増えてきました。
こうした情報はあくまで各社・各メディアの独自調査であり、業界全体を網羅した公的データではない点には注意が必要です。
そのうえで筆者としては、少なくとも「アルバイトが退職代行を使うのはまだ珍しい」という数年前の空気感は、すでに過去のものになりつつあると感じています。
退職代行サービスをバイトが使う料金相場はいくら?
運営元によって異なりますが、目安は1万円台から10万円程度です。
退職代行サービスの運営元は、大きく分けて「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3種類があり、それぞれ対応できる範囲と料金が変わります。
運営元 料金相場 退職意思の伝達 交渉権 法的対応
民間企業 1万円台〜3万円程度 ◎ × ×
労働組合 2万〜3万円程度 ◎ ◎ ×
弁護士 5万〜10万円程度 ◎ ◎ ◎
民間企業運営(1万円台〜3万円程度)
料金は割安ですが、依頼できるのは「退職の意思を会社に伝える」ことのみです。
有給休暇の取得交渉や退職日の調整、未払い賃金の請求といった「交渉」は、弁護士資格のない民間業者が行うと弁護士法72条違反(非弁行為)にあたるため対応できません。
向いている人:退職の意思を伝えるだけでよく、有給交渉などの予定がない人
注意点:交渉が必要になった時点で対応してもらえない可能性がある
労働組合運営(2万5,000円〜3万円程度)
労働組合法に基づく団体交渉権を使えるため、有給休暇の取得や退職日の調整、未払い賃金の交渉まで対応してもらえます。
訴訟や損害賠償請求といった法的対応まではカバーしませんが、費用と交渉力のバランスがよく、アルバイト・パートには人気の高い選択肢です。
向いている人:有給消化や退職日の調整をしたいが、訴訟までは考えていない人
注意点:ハラスメントの慰謝料請求など法的トラブルには対応できない
弁護士運営(5万〜10万円程度)
料金は高くなりますが、ハラスメントの慰謝料請求や、うつ病・精神疾患が生じた場合の労災認定サポートなど、法的トラブル全般に対応できます。
会社との間で深刻なもめごとが予想される場合に選ぶ価値があります。
向いている人:未払い賃金が高額、あるいはハラスメント等で法的措置も視野に入れたい人
注意点:料金が3種類のなかで最も高い
なお、複数の退職代行業者が自社サイト上で公開している料金表を比較すると、アルバイト・パート向けのプランを正社員より数千円〜1万円ほど安く設定しているケースが目立ちます(筆者が業者各社の公表料金を比較した限りの傾向であり、全業者に共通するものではありません)。
アルバイトは退職時の引き継ぎ業務が少なく、雇用保険や社会保険の切り替え手続きもシンプルなケースが多いため、業者側のサポート負担が軽くなることが理由の一つと考えられます。
学生やフリーターでも、バイト代1回分程度の費用で依頼できるサービスが増えている点は、覚えておいて損はないでしょう。
筆者の視点として付け加えるなら、料金だけを見て民間企業を選び、後になって「有給を交渉してほしかったのに対応してもらえなかった」という趣旨の相談・体験談をSNSや口コミサイトで見かけることが実際にあります。
安さだけで飛びつく前に、自分に交渉が必要な事情があるかどうかを一度立ち止まって確認することを、個人的にはおすすめしたいところです。

バイトが退職代行を使うメリットとデメリット
メリットは精神的負担の軽減と退職のスムーズさ、デメリットは費用負担と業者選びのリスクです。
メリット
アルバイト先と直接やり取りせずに済む
即日退職できるケースが多い
有給休暇を消化してから退職できる可能性がある
無断欠勤・無断退職によるトラブルを回避できる
就業規則によっては退職金を受け取れる場合もある
特に「辞めたいと言い出せない」「店長の引き止めが強引で断れない」という悩みを抱えるアルバイトにとって、退職代行は自分の代わりに意思を伝えてくれる心強い存在です。
デメリット
業者選びを誤るとトラブルになるおそれがある
依頼費用として数千円〜数万円のコストがかかる
本来、アルバイトを辞めるのにお金はかかりません。だからこそ、数万円という出費を「もったいない」と感じる人がいるのも事実です。
ただし、ストレスの多い職場から早期に離れられる価値を考えれば、決して大げさな出費とは言えないでしょう。
似たようなケースとして、飲食店でアルバイトをしていた20代の方が、シフトの overコミットを理由に何度も退職を切り出せず、最終的に労働組合系の退職代行を利用して数日で退職を成立させた、という趣旨の体験談を目にしたことがあります(個人が特定できないよう内容を一般化して紹介しています)。
筆者としては、このメリット・デメリットは表裏一体だと考えています。
費用がかかる分、精神的な負担を第三者に肩代わりしてもらえるという点は、特に接客業のアルバイトなど「毎日顔を合わせる相手に言い出せない」状況にいる人にとって、費用以上の価値を持つ場面が多いというのが率直な感想です。
バイトが退職代行を利用する流れ
申し込みから退職完了まで、おおむね5つのステップで進みます。
① 依頼先を選んで相談する
多くの業者は無料相談を受け付けています。実績数、運営元、支払い方法、料金システム、オプション料金の有無、即日退職への対応可否などを事前に確認しておきましょう。
② 契約を結んで依頼費用を支払う
相談内容に納得したら契約し、前払い制の場合は入金します。業者によっては、退職完了後に支払う後払い制を採用しているところもあります。
③ 退職条件などの打ち合わせをする
氏名や勤務先、退職希望日、有給消化の希望、会社からの連絡拒否の有無などをヒアリングシートで伝えます。
④ 退職代行業者が退職手続きを進める
打ち合わせた日時に、担当者が職場へ電話やメールで退職の意思を代理で伝えます。その後、退職届を記入して郵送し、貸与品があれば同封します。
⑤ 退職関係の書類を受け取って手続きが完了する
退職が受理されると、雇用保険被保険者証や源泉徴収票などが職場から郵送されます。どちらも失業給付の申請や確定申告に必要な重要書類のため、必ず受け取りましょう。
このステップを見て分かるとおり、依頼者本人が職場と直接顔を合わせる場面は基本的にありません。
筆者としては、この「連絡を代行してもらえる」という一点だけでも、追い詰められた状況にある人にとっては十分に依頼する価値があると考えています。
バイトが退職代行を利用する際の注意点
有給の残日数確認、貸与物の返却、未成年の同意が主な確認ポイントです。
有給の残り日数を確認しておく
退職代行に依頼する際、有給休暇の残数を聞かれます。話し合いをスムーズに進めるためにも、事前に把握しておきましょう。
会社からの貸与物は返却しておく
制服や名札などがある場合は、退職代行を利用する前に職場に置いてくるか、郵送の準備をしておくと、やり取りを最小限に抑えられます。
未成年者が利用する場合は保護者の承諾が必要
18歳未満の未成年が退職代行を利用する場合、金銭のやり取りが発生するため、親権者や法定代理人の同意が必要です。
18歳以上であれば、高校生・大学生を問わず本人の判断で依頼できます。

バイトの退職代行利用は今後どうなっていくのか
ここからは筆者の見解です。
退職代行というサービスが世に出た当初は、正社員が使うものという印象が強かったように思います。
しかし近年は、SNSや求人関連メディアの発信、そして退職代行運営各社が公表する依頼者属性の傾向を見る限り、学生アルバイトやフリーターが退職代行を利用したという体験談を目にする機会が明らかに増えてきたというのが、筆者の実感です。
これは、アルバイトやパートといった若年層・非正規雇用の利用が着実に広がっていることの一つの表れではないかと個人的には見ています。
筆者としては、この流れは今後も続くと考えています。理由は単純で、退職代行サービス自体の料金が下がり、参入業者が増えたことで「気軽に使える選択肢」に変わってきたからです。
複数の運営会社の料金表を比較する限り、かつては5万円以上が当たり前だった費用感も、現在は民間業者を中心に1万円台〜3万円前後で利用できるケースが目立つようになってきました。
一方で、料金の安さだけで業者を選ぶのは危険だと個人的には考えています。有給消化や未払い賃金の交渉が必要な場面で、交渉権を持たない民間業者に依頼してしまうと、希望通りの条件で退職できない可能性があるからです。
アルバイトだからといって「交渉することなんてない」と決めつけず、自分の状況——有給がどれだけ残っているか、未払いの給与はないか——を整理したうえで、労働組合運営か弁護士運営かを検討する視点を持つことが、後悔しない退職代行選びにつながると筆者は考えます。
また、無断欠勤や無断退職によるトラブルを避けるという観点からも、退職代行は「怖くて辞められない」を解決する現実的な手段になり得ます。
バックレという選択肢を取る前に、正規のルートで確実に退職を成立させる方が、その後のキャリアにとっても健全であるというのが筆者の率直な感想です。
よくある質問
アルバイトを退職代行で辞めた場合、次のバイト先に影響はある?
一般的に、退職代行を使ったこと自体が次の職場に伝わることはありません。退職の経緯を選考で聞かれても、正直に「一身上の都合」と答えれば問題ないケースがほとんどです。
バイトの退職代行は即日対応してもらえる?
業者や状況にもよりますが、即日〜翌営業日中に退職の意思が職場へ伝えられるケースが多く見られます。ただし、確実性を求めるなら契約前に対応スピードを直接確認しておくと安心です。
LINEだけで退職代行を依頼できる?
多くの業者がLINEでの相談・申し込みに対応しています。ただし、契約内容や支払い方法は業者ごとに異なるため、最新の対応状況は各社の公式サイトで確認することをおすすめします。
まとめ
アルバイトやパートも、雇用形態に関係なく退職代行サービスを利用できます。
料金は運営元によって異なり、民間企業なら1万円台〜3万円程度、労働組合なら2万5,000円〜3万円程度、弁護士なら5万〜10万円程度が目安です。
有給消化や退職日の交渉が必要かどうかで、選ぶべき運営元は変わってきます。
自分の状況を整理したうえで、信頼できる業者を選び、後悔のない退職を実現してください。
なお、料金や対応範囲は業者・時期によって変動するため、依頼前には必ず各社公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
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